お知らせ
LPガス供給機器等の“再使用”による事故の防止について
取り外されたLPガス供給機器の再使用が原因と思われる事故、トラブルが増えています。
供給機器において取り外した機器を再使用すると、交換期限内であっても以下の問題点があります。
機器を設置するときは、新品を取り付けてください。
@調整器を取り外したあと、再使用した場合の問題点
調整器は調整器以後のLPガス設備への供給圧力を標準圧力に保つという重要な役割を負っている機器であり、その重要構成部材であるダイヤフラムはゴムでできています。
調整器のダイヤフラム部は、ガス供給に使用している間は通常下部がLPガス、上部が空気になりますが、取り外した状態では両面空気に接することとなり、LPガス使用中にダイヤフラム部のLPガス面に浸透したLPガスが空気中に放散され、その時にダイヤフラムに添加されている可塑剤も同時に抽出されることになります。
その結果、ダイヤフラムの柔軟性が減少し、伸び・耐久性が失われるとともにダイヤフラムの気密性が損なわれる可能性があります。更にはガスに触れていた接続部のOリング(単段式)やパッキンもダイヤフラム同様空気中に放置されると、添加されている可塑剤が抜けることで劣化し、接続部からのガス漏れの要因となります。
他にも長時間使用された調整器にはドレンが付着しているケースがあり、こうした状態の調整器が取り外されて空気に触れると、ドレンが乾燥・固化して機構部分の動きが悪くなり、再使用時に調整圧力不良になることが考えられます。
また、屋外に設置された調整器は、多くの場合、砂埃等が表面に付着しており、接続箇所にはシール剤等が使用されています。そのような状態で調整器を取り出すと、取り外した時や保管の間に砂埃やシール剤のカス等が調整器内部に入り、再度、使用したときに閉そく不良や性能不良といった不具合を起こします。
こうした不具合が起きると、燃焼機器の不完全燃焼や立ち消え、ガス漏れ等の事故を引き起こす可能性があります。
Aガス栓を取り外したあと、再使用した場合の問題点
ガス栓、特に末端ガス栓の多くは、屋内に設置されているため、機能に不具合が生じガス漏れを起こすと重大事故を引き起こす可能性があります。
多くのガス栓は、弁部分やシール部にゴムを使用しております。こうしたゴム材料は、LPガス中でその成分を吸着する性質を持っています。そのため、使用しているガス栓を取り外して放置すると、ゴムに吸着されたLPガスが放出し、その時にゴムの可塑剤等が抜ける現象を引き起こします。この現象により、ゴムの寸法が初期値から変化したり、劣化を起こしたりする事で、気密性を損ないガス漏れの原因となります。
また、ガス栓の接続にシール剤等を使用しているため、取り外しの時にこのシール剤のカスがガス栓内に入り込み、つまみを回転しづらくしたり、ホースガス栓においては未接続時の誤開放等によるガス漏れを防止するためのヒューズ機構の機能を喪失したりすることがあります。
更に放置時に水分等で弁部の金属が腐食を起こしたり、グリス等に砂埃等が付着したりし、再使用時にガス漏れ、ヒューズ機構の不具合という問題を引き起こす可能性があります。
Bホース類を取り外したあと、再使用した場合の問題点
使用しているホース類を取り外すと、接続部についたシール剤のカス等が、ホース内部に入り込むことがあります。こうしたシール剤のカス等は、ホース本体には悪い影響を与えませんが、ガス放出防止機構や調整器、マイコンメータ、ガス栓、ガス栓のヒューズ機構、燃焼機器に悪影響を与え、これら機器の機能を損なう可能性があります。
一方、取り外したままのホースを放置すると、砂埃等が侵入し再使用時に同様の現象を起こすことが考えられます。また、ガスに触れていたOリングや角リング及びTUユニオン部のパッキンなどのゴム部品が空気中に放置されると、調整器同様、添加されている可塑剤が抜けることで劣化し、再使用時に接続部からガス漏れする要因となります。